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2014.01.16
律して立する年に
西村 浩((株)ワークヴィジョンズ|EA協会 副会長)
新年あけましておめでとうございます。毎年、この言葉から始まる念頭の挨拶ですが、今年はなんとか“おめでたい”状況になってほしいと、新年の始まりに期待するばかりです。何のことかというと、昨年は私自身も仕事で散々な思いをさせられた「工事費の高騰」のお話です。
昨年、全国各地の公共工事において、入札不調や不落の案件が大量に発生しました。民間の事業においても、工事見積もり額が予算を大幅に越え、事業計画自体が成り立たない状況に陥る物件が多く見られたと聞きます。皆さんもご存知の通り、この原因は、日本全国に波及した、近年は経験したことがない程の「職人不足」です。その原因は、①東日本大震災の復興事業への人手投入、②いわゆる“アベノミクス”による公共事業の急激な増加、③消費増税を前にした駆け込み需要の増加、という3つの要因が同時に進行した結果だと推察されます。③については一時的で、②もいつまでも続くわけがないとは思っていますが、景気回復・デフレ脱出を目指した政策によってもたらされた結果とはいえ、あまりにも急激な変化に状況が対応できなかったわけで、ここにきて「社会の安定」の大切さを痛感しました。
さて、この職人不足の結果、何が起こっていたのかというと、実に明快。「儲からない仕事はやらない」なのです。手間がかからず、効率よく仕事がこなせ、手離れがよく、かつ単価が高いという仕事には職人が集まり、手間のかかる仕事については、十分な建設費と工期が用意されなければ受注しないという現象が現実に起こっています。儲かるところに人が集まるという市場原理から考えれば当たり前のことですが、僕が思う「職人」という呼称には、ものづくりに欠かせない“こだわり”のようなニュアンスがあってもいいんじゃないかと感じてしまいます。
もちろん、職人も仕事で飯を食わなければなりませんから、経済的に「自立」していなければなりません。ただ、それと同時に「自律」することも大切ではないかと思います。「自立」とは、他からの支配や助力を受けずに存在することをいい、「自律」とは、カントの道徳哲学では、自らの意志によって普遍的道徳法則を立て、それに従うことを言います。我々ものづくりに携わる人間は、そこに暮らす人々のため、社会のために、今、何が必要かということを自身の哲学として仕事をすることが前提で、その哲学に見合った成果をもって有り難く報酬をいただくものだと、改めて、ごく当たり前のことを考えさせられました。ひょっとしたら、この「自律心」の欠落が日本中を蝕んでいることが、困難な社会状況をつくりだしているのではないかとも思いました。
律して立する。今年は、この言葉を心に秘めて、一年間仕事に取り組んでいきたいと考えています。本年もどうぞよろしくお願いいたします。
2014年 新年のご挨拶
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- 篠原 修(GSデザイン会議|EA協会 会長)
- 年頭に当たって
- 吉村 伸一((株)吉村伸一流域計画室 |EA協会 副会長)
- 律して立する年に
- 西村 浩((株)ワークヴィジョンズ|EA協会 副会長)
西村 浩Hiroshi Nishimura
(株)ワークヴィジョンズ|EA協会 副会長
資格:
一級建築士
略歴:
1967年 佐賀県佐賀市生まれ
1991年 東京大学工学部土木工学科卒業
1993年 東京大学大学院工学系研究科土木工学専攻 修士課程修了
1993年 (株)GIA設計 勤務
1999年 ワークヴィジョンズ 設立
現在
(株)ワークヴィジョンズ代表取締役
北海道教育大学芸術課程特任教授
東京藝術大学美術学部デザイン科非常勤講師
日本大学理工学部社会交通工学科非常勤講師
お茶の水女子大学生活科学部 人間・環境科学科非常勤講師
主な受賞歴:
2003年 グッドデザイン賞(環境デザイン部門/長崎県万橋)
2004年 グッドデザイン賞・金賞 (環境デザイン部門/長崎水辺の森公園:橋梁群担当
2005年 第15回トータルハウジング大賞パートナーシップ賞(伊勢原市NR邸)
2005年 グッドデザイン賞(環境デザイン部門/鳥羽海辺のプロムナード)
2007年 土木学会デザイン賞 優秀賞(長崎水辺の森公園:橋梁群担当)
2008年 土木学会デザイン賞 優秀賞(鳥羽海辺のプロムナード「カモメの散歩道」)
2008年 照明学会照明普及賞 優秀施設賞(岩見沢複合駅舎)
2009年 第4回まち交大賞プロセス賞受賞(岩見沢複合駅舎及び周辺地区)
2009年 第34回北海道建築賞(岩見沢複合駅舎/日本建築学会北海道支部)
2009年 鉄道建築協会賞 最優秀協会賞(岩見沢複合駅舎/鉄道建築協会)
2009年 グッドデザイン賞・大賞(岩見沢複合駅舎/日本産業デザイン振興会)
2009年 北海道赤レンガ建築賞(岩見沢複合駅舎/北海道)
2010年 日本建築学会賞(作品)(岩見沢複合駅舎/日本建築学会)
2010年 第51回BCS賞(岩見沢複合駅舎/建築業協会)
2011年 作品選奨(岩見沢複合駅舎/日本建築学会)
2011年 ブルネル賞(岩見沢複合駅舎/鉄道関連国際デザイン賞)
2011年 アルカシア建築賞(岩見沢複合駅舎/ARCASIA)
主な著書:
グラウンドスケープ宣言 土木・建築・都市−デザインの戦場へ(丸善、2004年5月、共著)
まち再生への挑戦−岩見沢駅舎建築デザインコンペ作品集− (北海道旅客鉄道(株)、2006年4月、共著)
ものをつくり、まちをつくる GS軍団メーカー職人共闘編(技報堂出版、2007年1月、共著)
『駅・復権!』-JR岩見沢複合駅舎誕生とまち再生への軌跡-(岩見沢複合駅舎完成記念誌制作委員会、2010年5月、共著) 他
組織:
(株)ワークヴィジョンズ
代表取締役 西村 浩
取締役 田村 柚香里
〒140-0002 東京都品川区東品川1-5-10 丸長倉庫B
TEL:03-5715-7761
FAX:03-5715-7762
HP:http://www.workvisions.co.jp/
MAIL:info@workvisions.co.jp
業務内容:
・建築の企画・設計及び監理
・地域並びに都市計画に関する調査、研究及び計画立案
・都市デザイン並びに景観設計に関する調査、研究及び計画立案
・インテリア及び家具の設計、製作及び販売
・広告、パンフレットの企画、編集、製作
・その他上記に付帯する一切の業務
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