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2011.08.01

05|モケイづくりを始めよう その2~地形の表現

西山 健一((有)イー・エー・ユー|EA協会)

はじめに

先月号では、等高線に沿って切り出した材料(コンタ)を積み重ねて地形を作り、それを土台に設置するところまでを紹介した。これが模型のベースとなる。次に紹介するのは、地形の表現方法である。今月号では、コンタを積み重ねて作られた地形の仕上げ方法とその他の地形表現の方法を紹介する。

切り出した地形模型をきれいに仕上げよう ~ジェッソを塗る

地形模型の一般的な作り方は、コンタを積み重ねる方法である。これについては、先月号で紹介した。コンタを積み重ねた後、できあがった地形模型に「ジェッソ」(写真1左)と呼ばれる白い塗料を塗ることが多い。こうすることで地形を美しく仕上げることができる。コンタに一番よく用いられるスチレンペーパーは光を反射する材料であり、積み重ねただけでは全体的にテカテカとした印象になる。またスチレンペーパーを重ねる向きや使用する板自体が異なると、コンタ毎に光を反射する方向や反射量が変わり、全体として統一感が出ない。そこでジェッソで白く塗装することで、反射を落ちつかせると共に、全体としての統一感を出すことができる。また塗装することで、コンタの水平面と垂直面の陰影の差もシャープに出すことができる。(写真2)
またジェッソによる塗装には、細かい傷を埋めることができるという利点もある。スチレンペーパーを切る過程において、切り損じによって、切断面に細かい傷がつく場合が多い。(この傷は、カッターの刃を折らずに切れない刃のまま切り続けることによって生じる。少しでもカッターが切りづらいと感じたら、躊躇なくカッターの刃を折り、新しい刃を使うことをお勧めする。)またコンタ同士に小さな隙間が空いてしまう場合もある。こうした傷や隙間があっても、ジェッソよってそれらを埋めることができる。もし傷や隙間が大きすぎて、ジェッソでは埋めることが出来ない場合には、「モデリングペースト」(写真1右)と呼ばれるパテ状の材料で傷を埋め、その上からジェッソを塗ると美しく仕上がる。
ジェッソを塗る際には、水に溶かして薄めてから塗る。原液は粘性が高くドロドロとした液体であるので、そのまま塗ってしまうと塗り厚が一定にならない。また筆やハケの塗り跡が模型の表面に残ってしまう。塗って乾いた後に再度塗るという作業を何度も繰り返すことで、美しく仕上げることができる。(写真3)
またジェッソには様々なものを混ぜ込むこともある。小さな粒が混ざっている粒入りジェッソや色を混ぜて着色したジェッソを用いる場合もある。表現したい地形のイメージに応じて工夫されたい。

 

写真1 ジェッソとモデリングペースト

 

写真2 左:ジェッソを塗る前(コンタ毎に光の反射の仕方が異なる)
右:ジェッソを塗った後(全体として統一した色になる)

 

写真3 ジェッソを塗った地形模型の例(K島駐車場配置検討模型 S:1/500 EAU作成)
ジェッソを塗ることで、コンタの水平面と垂直面の陰影がくっきりと出る。

 

粘土を使って地形を表現する

ここからは、コンタを積み重ねる以外の地形表現の方法をいくつか紹介する。まず紹介するのは、粘土を用いた地形表現である。紙粘土や石膏とは異なり、しばらく時間が経っても硬くならない油粘土がよく使われる。粘土は、削ったり、盛ったり変更するのが容易で、地形の形状スタディに適している。(ヘラや指でならすことで変更箇所を目立たなくすることも容易である。)また曲面状の柔らかい法面を表現するのにも適している。(写真4)
また芝生の丘のような微妙な起伏のある地形の表現にも適している。まず平面図を元に格子状に複数の断面図を書く。断面図に沿ってスチレンペーパーで切り出し、それらを格子状に組み合わせる。この格子状の骨組みが隠れるように粘土を盛ると、計画した高さをある程度正確に表現することができる(図1)。粘土の表面に下地の骨組みが現れないよう、格子状の骨組は計画している盛土高さよりも若干低く作ると良い。
粘土を用いた地形表現で気をつけたいのが、粘土の油分である。紙素材を接して粘土を用いると、粘土の油分が紙に移ってしまい、シミができてしまう。紙素材と直接接しないようにしたい。

 

写真4 粘土による模型表現の例(大分県竹田市白水ダム周辺整備鴫田駐車場・トイレ模型S:1/100
EAU+川添善行・都市・建築設計研究所作成)

 

図1  粘土を用いた地形の作り方(微妙な起伏のある地形の場合)

 

スタイロやスチレンペーパーの塊で法面を作る

勾配が変化する有機的な地形がある一方で、河川の護岸など一定の勾配で計画される法面や擁壁もある。コンタを積層させて表現する場合もあるが、それでは階段状になってしまい、法面の雰囲気が出ない。こうした一定勾配の法面形状に適しているのが、スタイロフォーム(以下、スタイロと呼ぶ)などの塊状の素材である。一定勾配であれば、スタイロカッターで斜めに切ることできれいな法面を表現できる。またスタイロの表面にテクスチャーをつけることで素材の雰囲気も出すことができる。
スタイロは折り曲げようとすると折れてしまうので、曲線上の法面にはスチレンペーパーの塊が適している。スチレンペーパーを積層させた上で、スタイロカッターで切って三角柱状の法面の塊を作る。スチレンペーパーはある程度曲げることが出来るので、計画に合わせた曲線形状に曲げて設置する。そして最後にジェッソで塗装をすれば、きれいな曲線形状の法面ができあがる(図2)。(但し、スチレンペーパーには曲げやすい方向があるので重ねて塊状の材料にする際、重ねる向きを注意する必要がある。)

 

図2スチレンペーパーの塊を用いた法面の作成手順

 

今月の材料

・油粘土

土木の模型制作に良く用いられる油粘土。硬化しないので、何度でも形の変更が可能。クレイアニメのキャラクターなどを作る場合にも用いられる。様々な色があるが、白系の色が着いていないものを使う場合が多い。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

・スタイロ

スタイロフォームの略称。発泡ポリスチレン製で、建築の断熱材で用いられる。熱線カッター(通称スタイロカッター)できれいに加工できるので、模型の建物やかさ上げ材など塊状の物の表現に用いられる。水色やクリーム色などの色が着いているものが多いので、前述のジェッソで白く塗装する場合が多い。

 

ドボクノモケイ

西山 健一Kenichi Nishiyama

(有)イー・エー・ユー|EA協会

資格:

技術士(建設部門:都市および地方計画)

 

略歴:

1975年 東京都生まれ

1998年 東京大学工学部土木工学科卒業(景観デザイン)

2000年 東京大学大学院社会基盤工学専攻修士課程修了(景観デザイン)

2000年〜2002年 (株)日本設計勤務

2002年 東京大学大学院工学系研究科社会基盤学専攻 博士課程入学

2003年 (有)イー・エー・ユー設立

2005年 東京大学大学院社会基盤工学専攻博士課程中退(景観デザイン)

2005年〜2007年 国土交通省東北地方整備局 景観デザイン研修講師

 

主な受賞歴:

2008年 土木学会デザイン賞 奨励賞(片山津温泉砂走公園)

2009年 広島南道路太田川放水路橋りょうデザイン提案競技(国際コンペティ

ション)最優秀賞

 

組織:

(有)イー・エー・ユー

取締役代表 西山 健一

取締役代表 崎谷 浩一郎

〒113-0033 東京都文京区本郷6-16-3幸伸ビル2F

TEL:03-5684-3544

FAX:03-5684-3607

HP:http://www.eau-a.co.jp/

 

業務内容:

・土木一般、建築、造園等に関わる景観デザイン、設計、コンサルタント業務

・都市開発、都市計画、まちづくりに関わるコンサルタント業務

・その他上記に付帯する業務

 

 

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